昨年話題にさせて頂いた V24Cさんの自作シェル。 この度量産(と言っても個数限定)開始、 とお知らせ頂いたのが今年の初めの事。 いよいよ完成となり、お届け頂いた。
このシェルの素材は、ビクターのPH−L1000と同じ、 炭化ケイ素。 ただし、同じなのはそれだけ。 最も違うのが重量。 昨年モニターさせて頂いたプロトタイプは なんと23g。 カートリッジ込みの重量は、大抵の場合30gオーバーとなるので 使えるアームは限定されるが、 その音は一種独特のものがあった。
全長を短縮して軽量化を図った 18gの物〈No2)も用意された。 注文の際、どちらか選ぶ事になり、 大いに迷ったが、少しでも多くのアームで使用出来る方が、 と考え、未試聴の18gバージョンをお願いした。
取り出したのは、例によってMC−L1000。 前回プロトタイプとの比較をする為には カートリッジは固定しなければなるまい。 装着してさっそく音出し。
と言っても、今回は固まってしまうと言う事は無かった。 むしろリラックスさえ出来た。 何故か?。 それはそれだけ自然な音だったから。 だからと言って、フツーのシェルとは 明らかに一味違う。 まず、驚かされるのがSN比の良さ。 テープヒスノイズと、サーフェースノイズが はっきり分けて聞こえるのはもちろんの事、 それまで僅かにあったベールを、 さっとひと拭きしてくれたような感じが有り、 大変クリーンな世界がそこに生まれる。 「今まで聞こえなかった音が聞こえた。」 なぁ〜んて、お決まりの言葉を使いたく無いが、 今回は明らかにそれがあった。 耳にタコの愛聴盤を掛けていて、 「あ。」と呟いてしまった。
一点だけ気になっていたのが“高域”。 いや、このシェルの聴かせる音こそが本物で 他のシェルに付帯音があるんだよ、 と言う説もあったが、 後一歩華やぎが欲しい、 と言うのが同シェルを拝聴したメンバーに 共通した感想だった。 結論から言うと、bQシェルでは その点が23gのbPシェルとはまるで違っていた。 bPシェルの音が、 雄大な裾野に支えられたピラミッド型だとしたら bQシェルの音は、どこまでもフラット型と言って良いと思う。 以前も比較に出したビクターのPH−L1000シェルに有るような、 一種独特の華麗さまでは感じられないが どこにもピークが感じられないと言う点では bQシェルの方が本物と言えるかもしれない。
アンプのボリュームをいつもより上げられる。 と言うか、上げたくなる。 もちろん、最終的にはソース次第だが、 必要以上に音が荒れると言う事がほとんど無いため、 安心して音量を上げたくなるのだ。
そんなにボリュームを上げなかった。 もちろん、音が悪かったからではない。 では何故か?、と言うと bPシェルは“ハイトルク”、という言い方がピッタリで、 普段とより低いボリューム設定でも グングン音が出て来てしまったから。 特に低域の圧力は物凄く、 針圧か何か間違えたのではないか?、 と最初は疑ったくらいだったのだ。 この辺りはbPシェルとbQシェルで 大きく違うと感じられた所で、 大変興味深い。 bQシェルも一般のシェルに比べると 十分トルクフルだが、 その辺の凄みの違いと言うのは想像以上に大きくて、 僕には戦前の皇室と戦後の皇室の違い位に感じられた。
bQシェルの方が上と言って間違い無いと思う。 ただ、bPシェルには、 明らかにあのシェルでないと聴けない世界が有り、 挑戦するならその価値は十分にあるシェルである事も、 間違いの無い事実だ。 どちらを取るかはその人次第。 ご興味のある方は当サイトの掲示板等通じて、 V24Cさんにご打診を一つどうぞ。
ところで、カウンターポイントSA3は 相変わらず”良い仕事”をし続けてくれている。 ありがたや、ありがたや。 しかしながら、このアンプ フォノは基本的にMM対応だったりする。 説明書には高出力MCまで対応可能となっているが、 SN比の点などで少々無理がある。 そこで、かねてより思っていた事をやっと実行。 何かといえば、PRA−2000を フォノイコとして使うのだ。
MMをあれこれ聴いていた。 それはそれで楽しい日々だったのだが、 V24Cさんのシェルに付いたMC−L1000を眺めている内に、 これをSA3→A−10Type3→ロジャース の流れで聴くとどんな感じなのかな?、 と思ってしまった。 もう一つ言うと、SA3に繋がっている GT−2000で、V24Cさんのシェル+L−1000が 本当に使用可能か確かめて見たかった と言うのもある。 前作のプロトタイプは、 なにせシェル単体で23gという自重があったので、 我が家では、ダイナベクターDV507でしか実用にならなかったが、 今回の物(自重18g)は、もう少し色々なアームで使える筈だ。
SN比問題無し。 このあたり、さすがデンオンと言うべきか、 あるいはジャパン アズ ナンバー ワン と言うべきか?。 (後でMM各種も聴き直したが、 それらも、あるいはPRA−2000を通した方が 良いかもしれない?。 これに付いては、追って研究しよう。)
あれこれ掛けるが、途中でハタと気がついた。 他の機器はさて置いて、 L−1000の音をロジャースから出したのは 初めてだった?。 L−1000=ハイスピードサウンド。 だからロジャースみたいなタイプのスピーカーでは 真価を発揮しない、 と言う短絡的過ぎる思い込みが 邪魔をしていた様だ。 (反省) ところで音は?。 馬鹿みたいだけど、これが“良い”。(笑) L−1000とロジャースで、こんな感じになるとは思いもしなかった。 (その他の機器の力もあるが) L−1000の良さがキチンと出て フツフツ、ポカリポカリ、と音像が宙に浮く。 手持ちのカートリッジの中で この感じが出る物はやっぱりL−1000だけで、 ちょっとオーバーに言ってしまうと 他の物だと宙には浮かばず、 何かに貼り付いたような感じになってしまう?。 (唯一例外がコンダクトYC−05E) さすがダイレクトカップル?。
こんなに良い感じだったら、 もっと早く試せば良かった、、。 一歩間違うとキツさだけが耳に付きかねない L−1000だが、 ロジャースが上手く丸め込んでくれるので 一種の安心感みたいな物がある。 加えてV24Cさんのシェルが 本当に余分な音を付けないタイプなので 無駄な(時には必要な?) 賑やかさは無い。 何だか全てが上手く嵌り過ぎて 拍子抜けするくらい。 ただし、スピーカーの限界もあり、 低域の“ガツン”、と来る感じは活かし切れない。 こればっかりは仕方ない。 両者の住んでいる世界の違いとしか言い様が無い。 (これに付いては、また改めて書きます。)
もう少し試してみたい事がある。 近くご報告させて頂きます。 日記の続きはこちらです。 (4月26日 UP!) 一つ前の日記に戻る。 日記のMENUへ。 掲示板へ。
|