4月15日

ところで、山本さんソニーさとうさん
お取り計らいで、SACDプレーヤー
SCD-XB9を貸し出し試聴させて頂く機会に恵まれた。

SACDについては、
一昨年、オーディオベーシック誌の取材の折
SCD-1を拝聴させて頂いたが、
当時とは部屋もシステムも違っている。

どんな感じで鳴ってくれるか?、
とっても楽しみだった。


以下、試聴記となるが、
今回は特別ゲストとして、
よっしーの妻さん
(早い話しがかみさん)
にも登場してもらった。

リスニングポジションに座っているよっしー。
上手よりよっしーの妻登場。

よっしー(以下Yと略す) 「、、、。」

よっしーの妻(以下Tと略す) 「どうしたの?。難しい顔して?。」

Y 「うにゃうにゃ。うん、同じソフトでSACDとCDの聴き比べをしてるんだけどね、、。」

T 「何?。ひょっとして違いがわからないんじゃぁないの?。」

Y (ドキッとしながら、、、)「い、いや、そんな事はないんだけど、、。」

T 「何、これとこれ?。全然違うじゃあないの。
これがわからない。」

Y (苦しげに) 「いや〜。ホラ、昨日から真剣になって
聴いているじゃない。
根つめ過ぎちゃって、今袋小路に入っちゃったみたい、、。」

T (にやっと笑いながら) 「なぁ〜るほどねぇー。細かい所ばっかり聴き比べるからダメなのよ。
全体の感じが違うでしょ?。」

Y 「うん。あ〜、でも俺疲れた。
しばらく代わりに聞いといて。」

と、席を譲るよっしー。

ちなみにディスクは綾戸智絵「life」

T 「やっぱり私はピアノの音を聴くとわかりやすいな。なんて言うか
SACDの方が本物っぽいのよね〜。」
(註 よっしーの妻は、一応ピアノの先生だったりする。)

しばらくねっ転がっていたよっしーも、ここで復活。

Y 「うん。一つ言えるのは全体的に、音の立ち上がりが良いんだよね。
だからとても自然に聞こえる。」

T 「どう言う事?。」

Y 「そーだねー。例えば一つのアタック音を捉えてみて、
一番耳につく、出だしの強い音の立ち上がりはSACDもCDも同じ様に再現している、と。」

T 「うん。」

Y 「ところがSACDの方は、それに付随して来る弱音も同じスピード
立ち上がって来る。CDはその辺が弱い。」

T 「“フワッ”と立ち上がってくる音が聞き取りづらいのよね?。」

Y 「そう。だから同じ物を聴いても、CDの方が
ちょっとキツク聞こえてしまう。」

T 「だからCDの方が作り物っぽく聞こえちゃうの?。」

Y 「ま、それが全てではないけど、一つのポイントかな。
自然界にある音は、凄くフラットに立ち上がって来ると僕は思う。」


ソフトも大量に
お貸し出し頂いた。

余談だが
ソフトが乗っているのは
齢40歳のちゃぶ台

我が家でも
最古の部類に入る
家具の一つである。


Y 「この綾戸さんのソフト。実は昼間
もっと大き目の音で鳴らしてみたんだ。」

T 「そうしたら?。」

Y 「もっと違いがよくわかるよ。そもそもこのソフトは
あんまりチマチマ鳴らすソフトじゃあないからね。」

T 「確かに。」(笑)

Y 「歌の上手い人って、そもそも声の立ち上がり
全域に渡ってフラットじゃない?。」

T 「高い音から低い音まで同じ様な瞬発力
出て来るって事?。」

Y 「まぁ、そういう言い方もあるね。
例えば特に高い方の、一部の音域だけ“ギャアー”って出すのは
子供だって出来るでしょ?。」

T 「金切り声?。」

Y 「そう。それなら誰でも出せる。
でも、それを声量が豊かとは絶対言わない。」

T 「うん。」

Y 「上手く説明出来ないけど、倍音成分の領域まで
綺麗に出せて、初めて豊かな声って言われるんだと思う。」

T 「ほら、グランドピアノとアップライトピアノで、
物理的な音量は同じなのに、グランドの方が音が大きいって言われる。
それは倍音成分まで、綺麗に出ているからだって
前に説明してくれたじゃない。
そーゆーのと同じ事でしょ?。」

Y 「うん。綾戸さんの声も、全面的にではないんだけど、
SACDと比べると、CDの方がちょっと
ヒステリック
になってしまう部分も感じられた。
SACDは、CDと比べると、音が痩せてしまうという
心配
が少ないみたい。」


T 「ねえねえ。こっちの装置で聴きたい。」

とリクエストがあったので、
ロジャース側の装置にSCD−XB9を繋ぐよっしー。

それまではネッシー側の装置で聴いていた。

ソフトは取り敢えず、綾戸智絵で固定。
特にトラック14の「LET IT BE」の冒頭を聴く。

Y 「どう?。」

T 「う〜ん、、、。良くわかんなくなっちゃった。(笑)」

Y 「うん。こっちのシステムはあんまり細かい違い
探し出すような目的には向いてないからね。」

T 「でも、私はこっちのスピーカーの方が好き。」

Y 「ま、それぞれの装置に、向き不向きってのがあるから、、、。
僕は、この綾戸さんのソフトだったらネッシー側で聞きたいね。
納められているパッションみたいな物を
あんまり丸めて聴いてしまうのは、ちょっとこの人に失礼な気がするから。」

ここで再びネッシー側の装置に戻す。

ソフトはケイコリーの「ビューティフルラヴ」に交換。
これもSACDとCD、両方を聴き比べる。

Y 「どう?。」

T 「う〜ん。だんだん判らなくなって来たー。」

Y 「でしょ?。休み休みやらないと、耳も疲れちゃうからね。」

T 「それにしても、このソフトはSACDとCD,そんなに違わないんじゃない?。」

Y 「うん。って言うか、CDの方も、相当な優秀録音だと思うし、
一聴瞭然とは行かないんじゃない?。」

T 「あのね。昼間キャロルキング聞いたけど、
そんなに良いと思わなかったよ。」

Y 「う〜ん、、。あの手のソフトをSACDで出す必要があるかどうか、
って言うとねえー、、、。」

T 「元の録音が良くないの?。」

Y 「良くないとは言い切れないと思う。
ただ、ひとつ言えるのは、SACDはソフトがまだまだ少ないって事。
せっかくのスーパーオーディオなんだから、
それを活かし切るソフトがもう少し出ないとね。」

T 「普及しない?。」

Y 「うん。でもヨーヨー・マの「コダーイ」なんて、
良かったよ〜。ロジャースで聴いたけど。」

ここで、トラック12の「If It’s a Magic」を選択。

T 「これは判り易いね。」

Y 「そーだね。このギターがいかにも本物っぽい。
CDだけ聴いている時は、別に不満も無いんだけど、
SACDの方を聴いてしまうと、
そうそう、ギターって、こーゆー音がするんだよ本来は。
って膝を叩きたくなる。」

T 「うん。CDの方は、いかにもCDに入っているギターの音です、
って言う気がする。
変な言い方だけど、、。」

Y 「やっぱり弱い音周りを支えている音の再現力が違うんですよ。」

T 「ねえ、それと話しは違うんだけど、
前に取材の時借りた機械と、やっぱり音違うね。」

Y 「そう?。どんな風に?。」

T 「この人(ケイコリーの事)のボーカールなんて、
あの時の(SCD−1の事)はもっと気持ち悪くなるくらい
生々しかった
んじゃない?。」

Y 「いや、お客さん。そんな事言われても困りますがな。
お値段が1/8以下になってますからね。
それ考えたら立派なもんですよ。」

T 「あれは50万だって言ってたものね。」

Y 「そう。それに第一号機だからね。
50万の内、かなりの部分をSACDに注いでいたと思う。
そこへ行くと、このSCD−XB9なんかは、
SACD部分とCD部分。上手にコストを割り振っているような気がする。
あと、アクセスタイムが凄い短いでしょ?。」

T 「50万のは、音が出るまで随分掛かっていたものね。」

Y 「思わず歳を一つ取ってしまうんじゃあないかって位掛かってた。(笑)」

T 「これは、すぐ音が出るものね。」

Y 「うん。こうでないと困るね。」



てな感じで、わかったんだか、わからなかったんだか
それこそ良くわからない内に、夫婦漫才の夜は更けて行くのであった。

同一ソフトの聴き比べをやってみて、
一つ言えるのはSACDは極めて自然な音がすると言う事。

スーパーなCD(?)なだけに、オーディオ的凄さがあるのではないか
と身構えていると、かえって肩透かしを食らう。

オーディオ的快楽を求めて、
日々アナログを楽しむよっしーであり、
アナログと比べてどうか?、と言う捉え方も
計らずもしてしまう。

だが、異種フォーマットの比較
意味がありそうで、実はやっぱり無さそうで、、、。

SACDは正確な情報の伝達と言う意味では
異次元の世界に住んでいるような気がした。

アナログのように、こちらが積極的に参加して、、、
と言う楽しみはほとんど無いわけだが、
プレーヤーを接続して、ディスクを入れれば
誰でもこれだけの音を享受する事が出来ると言うのは
やっぱり凄い事であろう。




SACD(左)とCD(右)。

どちらも優秀録音盤
なんじゃないかな?。



さてSACDにはやっぱり可能性が秘められている
と思う。

CDと比べれば(あれ?、やっぱり比較してる?。)、
文字通り器が違う

現行CDでも、まだまだ改良の余地はある、
やる事は残っている、と言う説にも一理有る。

だが、根本的な器の大きさの違い
決定的だと思う。

敢えて、妙な例えを挙げよう。

オートバイの雑誌で、
一般市販車(250cc)にプロのライダーが乗り、
素人の乗るGPレーサー(500cc)と
サーキットで競争すると言う企画があった。

どっちが速かったか、クイズになっていて、
応えは翌月号で発表、というお楽しみ企画だ。

さて、どちらが勝ったか?。

僕の予想は外れ、
勝ったのは素人が乗るGPレーサーだった。

どんなにヨタヨタ走ってコーナーで
プロの駆る市販車に詰められても
ちょっとした直線があれば、さすがGPレーサー
あっという間に先行してしまうらしいのだ。


CDとSACDを考える時、
僕は何故だかこの話しを思い出してしまう。

例えると、今の段階のSACDは
素人の駆るGPレーサーみたいな物なのではないだろうか?。

あいつはまだまだ未知数だ、と言われながらも、
ポテンシャルの高さはけた違いに高い。

250でも腕が良ければ大排気量車も追い詰められる、
と言うのは本当だが、
500ccレーサーなら下手くそが載っても速い、
と言うのも本当なのだ。

ついでに言うと、プロのレーサーが乗る
GPレーサーは物凄く速い。




SACDがそんなに良い物なら、音にうるさいマニアが
どうして飛びつかないのか?、と言われそうだが
これはひとえにソフトの供給量の問題があると思う。

要は特別なガソリンを入れないと走らないのだが、
そのガソリンが手に入らない状態みたいなものだ。

これでは二の足を踏む。

もう一つ、DVDオーディオの動向も気にならないと言ったら嘘になる。

両者激しく争い合って、どちらが生き残るか目が離せない、
と言う状況ならともかく、
現状では両者水面下で息を潜めているような感じで、
さっぱり先がつかめない

困ってしまうのはユーザーだけでは無く
メーカーさん達も困ってしまっているみたいだから、
傷み分け?。

結局、もうしばらく様子を窺いましょう
と言う結論が導き出されてしまう。

ま、そんなに急いで結論を出す事は無いのかもしれないけど、、、。





SCD−XB9

ただ今全国行脚中?。


今回このような機会をお作り頂いた
山本さん。そしてSONYの佐藤さんには
この場をお借りして、改めて御礼申し上げます
ありがとうございました。


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(4月20日 UP!)

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