さてさて、A−10Vの脚には もう一つ、音を変える要素がある。 このアンプは、通常の4点支持の他、 3点支持も選択できる。 前1、後2とするか、 前2、後1とするかは各人の自由。 今回は前1、後2でやってみた。 念の為申し添えると、 脚はピンポイント設置のままである。
3点支持には懐疑的だった。 三本脚なんて、犬がおしっこするみたいだし〜、 なんて気分だった。 ところが実際の所、安定感は特に問題無し。 よっぽど意地悪な事をしなければ大丈夫みたいだ。 それより問題は音の方だ、 と音出し。
なんと、これだけの事でも、音って変わるんですね〜、 などととぼけてはイケナイ?。 定位はよりピンポイント的になり、 ソースによっては低域の凄みも恐いくらい。 ちょっと、これは行き過ぎなのではなかろうか?、 先入観も手伝って、特に良く聞こえるのではなかろうか?、 との疑問が払拭出来ず、 一旦4本脚に戻してみた。 「、、、。」 ほ〜らご覧、こっちだってそんなに変わるわけが、、、。 、、、。あった、、。
思いの他大きく、 一旦3本脚の音を聴いてしまった後では、 4本脚のままではいられなくなってしまった。 4本脚の音も悪くは無いが、 3本脚にした時と比べると 繊細微妙さ、暴力性のいずれの面でも 聴き劣りがしてしまう。 とにかく、愛聴盤を 片っ端から掛け直したいくらいの気持ちになる。 正直言って、そんな気持ちになるのは 滅多に無い事なのです。
あるいは僕自身にしかわからない事なのかもしれない。 横に誰か立ち会っていたら、 「何が変わったわけ〜?。」 なんて訊かれてしまうかも。 でも、それは仕方ない。 オーディオなんて、最後は所詮一人遊び?。 本人の納得抜きでは成り立たない。 尚、脚の裏表、本数は環境トータルの中で選ぶもの。 「ウチではフラット面4本脚の方が良いぞ。」 という事があっても、全く不思議ではない。
さてさて、一応のまとまりがついたのだから、 それで大人しくしておけば良いのだけれど、 ここで余計な事をやってしまうのが、よっしー君。 何を始めたかと言うと、 バイアンプである。 以前から一度は試してみたかったのだが、 腰が重くて手付かずだった。 ロジャースのターミナルは ツイーター、ウーファーそれぞれが独立しているのだから バイアンプ作戦は容易。 PRA-2000のプリアウトはニ系統あるし、 パワーアンプも過剰にある。 そこで、ツイーター側にHMA-9500、 ウーファー側にA-10Type3と言う、 豪華絢爛?な組み合わせを試してみる事とした。
クソ重たいアンプを移動するだけでも一苦労。 しかも、それを邪魔にならないようにセットしなければならない。 幸いロジャースの足元後方の隙間に 上手い事HMAは収まってくれた。 生活空間を侵食する事もないし、 他の機器の移動も一切ない。 その点では大成功。 HMAの下には、取り敢えず 黒檀のサイコロを入れる。 そして、電源はA-10Type3の ACアウトレット(連動)から取る。 こうすれば余計なスイッチを押す手間が省ける。 まじめなオーディオファンからはお叱りも出そうだが ロジャースシステムはかみさんのお気に入りでもあるので、 使い勝手を悪くするわけにはいかないのだ。 音質よりも家庭の安泰?。
さっさと音出し。 「、、、。」 いや〜、これは面白い。 まるで“あいのこサウンド”である。 首から上がHMA。 その下はA−10Type3の音。 当たり前だろう?、と言われそうだが、 ここまで露骨だと報告の一つもしたくなる。 高域の華麗な事はこの上なく、 今まで眠っていたツイーターが 突然目を覚ましたが如く。 部分的には素晴らしいが、 いかにせんバランスを失している。 わかりやすい言葉で言うと ハイ上がり、 と言うヤツだ。 HMAとA−10Type3で ゲインも違うのだろう。 取り敢えずはここで行き詰まる。 A−10Type3の側が出過ぎとなれば ボリュームコントロールが付いているから 多少の調整をしてやれば、と言う事で解決は容易かもしれない。 だが、HMA側を絞るとなると、 あいにくそっちには調整機能は無い。 抵抗をかませる?。 そんな面倒な事はお断りだ。 さて、どうしたものか?。
結局バイアンプ作戦は 取り止めとなった。 いかにせんバランスが取れない。 ただアンプが倍になっただけだった。 これがホントの“倍アンプ”?。 とオチがついた所で HMA単独でのドライブに切り替えてみる。 A-10Type3でも良い結果が出ているのだから、 もう良いと言えば良いのだが、 あのきらびやかな高音はウチのA-10Type3からは まず、出て来ない。 なので差し換えてみる。 それに、KANスタンド、キャプタイヤケーブルに なってからは、HMAは繋いでないので確認の意味もあった。
音出し。 う〜ん、やっぱり華やかだ。 とても同じスピーカーとは思えない鳴り方をする。 何と言うか、ラテンの血が入ったみたいで、 大変陽気になる 曇り空から雲が吹き飛んで、 急に日が差して来たみたいだ。 音が踊っている。 そして、アンプが暖まるほどに、 美しい音を奏でてくれる。 一人でニコニコしている、 本当に幸せ者のわたし、、、。 だったら万々歳じゃない?、 と言われそうだが そうもいかないのである。
一言で言うと“低音”なのである。 もちろん、たっぷりとして しかも深々とした低音は出て来る。 ただ、残念ながらたるみ気味である。 抑えが効いていない。 ポリプロのウーファーが好き勝手にしてしまっていて、 立ち上がりはともかく、立下りはあなた任せの感じ。 エレキベースがブルンブルンとのたうつ感じなどは 大の苦手だ。 この辺りの制動力に関して、 A-10Type3の圧勝となる。
どこから来るのか?。 HMAとて本格的なパワーアンプである事は言うまでも無い。 電源も大変強力な物が搭載されている。 ネッシーをドライブする限りは 恐ろしいくらいの切れ味も見せてくれる。 しかし、現実は現実。 ロジャース相手のドライブ能力では A-10Type3に大きく水を開けられる。 だが、実はこの結果は やる前から予想がついていた。 既に詳しい方には言うまでも無いのだが、 HMA-9500と言うアンプで ハードな音を出したいなら 軽い振動坂、強力な磁気回路、 そう言った物を持つスピーカーユニットが必要。 それからすると、ロジャースのポリプロウーファーなどと言うのは 最も苦手な相手に違いない。
つくづくオーディオと言うのは面白い物だ、 と感じてしまった。 組み合わせる相手次第で、 物の評価と言うのは、こうまで変わってしまうのか?。 しかし、それは仕方の無い事だ。 万能型のスピーカーも無ければ、 万能型のアンプも、又無いのではないか?。 などと言いつつ、HMA+ロジャースの美音も捨て難く、 ここにA-10Type3の力強さがあれば申し分無いのに、 と無い物ねだりをしてしまう。
結局ロジャース用のアンプは A-10Type3に戻してしまった。 あらためて音を出してみて、 やはりその制動力には目を剥く。 脚についても、再度 4本脚面接触 対 3本脚点接触 を比較したが、我が家の現状では後者が圧倒的に良い。 HMA+ロジャースの時出ていた やるせないくらい美しい音、と言うのは姿を消したが、 仕方ない。 とにかくA-10を繋ぐと いかにもアンプがスピーカーに言う事をきかせている と言う鳴り方になる。 ウーファーはもちろん、 ダクトを通過する空気の動きまで アンプが制御しているのが感じられるような鳴り方なのだ。 もう少しオーバーに言うと、 薄いキャビネットの膨らんだり元に戻ったりまで アンプ側のコントロールの支配化にあるみたいに感じる。 恐ろしいアンプもあったものだ、、。
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オールキャプタイアケーブルでやったらどうなるか?、とか HMA-9500ニ台でバイアンプをやったらどうなるか?、とか 課題も残るがちょっと休憩。 さすがに聴き疲れがして来てしまった。 この辺で一度矛先を変えてみよう。 日記の続きはこちらです。 (3月31日 UP!) 一つ前の日記に戻る。 MENUへ。 掲示板へ。
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