1月5日

12月のある日の事、
北海道のHGさんからカートリッジ&シェルが届いた。

先日来、アントレーと言うメーカーの事が、
日記&掲示板で話題に(?)なっているが、
HGさんはアントレーについては大変詳しい

ついに、この度は「お試しあれ。」と言う事で
アントレーEC-10、及びオルトフォンVMS-30MK2
(共にシェルはアントレー
を拝借する運びとなったのだ。


まずはEC-10から準備。

残念ながら、このカートリッジについて
の資料と言うと、「ステレオのすべて’79」
同社の広告しかない。

それによると、
当時23,000円
周波数特性:10~50,000Hz
出力電圧:0,24mV
出力バランス:1dB
クロストーク:25dB以上
コンプライアンス:15×10‐6cm/dyne
インピーダンス:3,5Ω
針圧:1,5gr±0,3gr
針先:0,3×0,8milソリッド楕円針
自重:5,8gr
となっている。

ちなみにEC-10EC-1に継ぐ、同社の2号機
同じ広告にEC-1とトランスのET-100が載っている。

もう一つ付け加えるならば、
この広告の時点で会社名は
株式会社ソルティア アコースティックとなっており、
旧社名 株式会社アントレーと但し書きが付けられている。
同誌は’78年暮れの発売の筈なので、
同年社名変更があり、アントレーはブランド名となった事は
間違い無いだろう。

その他に自分で見てわかる点などたかが知れているが、
カンチレバーの先端は曲げて潰したタイプ。
スタイラスチップはそこに穴を開けて
長めのダイヤチップを差し込んで接着したタイプの様子。
そこまでは拡大鏡で覗いてわかった。

アントレーは、オルトフォンタイプのMC一筋のメーカーだったと言うので、
このカートリッジもトランスで受けるのが筋だとは思うが、
まずはPRA-2000のMC入力(ヘッドアンプ)で試させて頂く。

ちなみにアームダイナベクターDV-507
シェルは前述の通りアントレーで、ES-10と言う型番の物。


この状態での音は、一聴して爽やかなもの。
とてもクール見通しが良い

そして、素直
思わずうっとりしてしまう。
画に例えると、階調がとても滑らかと言う事になるのだろう。
引っ掛かる所、どこか強調感のある所と言うのがまるで無い。

あまりにもスムーズで拍子抜けしてしまうくらいに癖が無い
繊細感は、物凄い。

文句の付け様も無いのだが、
あえて足りない所を捜せば、
超低音の圧力は、どうしても不足気味


脂っこさとか、ギラついた感じとか、
粘っこさと言う表現は苦手の様子だが、
そう言った物を望む人には、他のカートリッジ、
他の組み合わせがあるだろう。



EC-10ES-10。
アントレー純正
と言っても良い
組み合わせ。

サスペンション部のポイントコンタクト
による、再生帯域拡大。
シルバードハイテンションワイヤーにより
コイル断線トラブルを追放。
サマリウムコバルトマグネット
特殊軽合金カンチレバーの採用など、
オーソドックスな技術のリファインを
重要視したのが、アントレーの思想らしい。


次にオルトフォンVMS-30mk2を拝聴。

このモデル自体は’81年の発売。
ただし、始祖に当たるVMS-20シリーズは
’74年には発売になっている。

VMSとは、
ヴァリアブル マグネティック シャントの略。
MI型である。
一方にコンコルドシリーズを擁するオルトフォンの、
こちら(VMSシリーズ)は
スタンダード路線とでも
言うべきか。

オリジナルの30の振動系ダンパーを改良。
インピーダンスを低減(800Ω)したのが
30mk2。

などとわかったような事を書いたが、
正直言ってこのシリーズには大変疎く
拝聴してから後、慌てて資料をひっくり返したのが
本当のところ、、、。



の方は、出してみてビックリ

これまた、実に素直&スムーズ
それでいて充分パワフル

オルトフォンサウンドと言うと、
もっと脚色された、色気たっぷりな物と言う
先入観があったが、とんでもなかった。

いわゆる正統派サウンドである。

超優秀だがそれを露わにはしないタイプ。

スーパーカーのエンジンを積んだ、4ドアセダン。
あるいは影で努力する花形 満か?。

MC-L1000あたりだとソースは選ぶし、
その他の機器も選ぶ。

出て来る音は、時に超エキセントリックと言う事で
好みに合わなければ、これっぽっちの価値も無い、
などと言う事に成りかねないが、
VMS-30にはそう言った心配は無さそう。


とにかく音楽とか楽器と言うものを
良くわかった人が作ったカートリッジなのだろう。

例えばピアノのハンマーが弦に当たる感じ。

弦楽器の胴の鳴る様。

太鼓の皮の震える様。

そう言った物がありありと目に浮かぶような
表現力を持っている。

オルトフォンの名は、伊達じゃあないのだ。
改めて、恐れ入りました


VMSとは、カンチレバーを支える
超軽量チューブ型アーマチュア
小型リングマグネットの間を動く構造で、
針先の動きにつれてアーマチュアの動きが
マグネットからのフラックスを変化させる仕組み。

可動部分にマグネットもコイルも無い事から、
ムービングマス小さい
チャンネルセパレ‐ション優れている
レコードに対する負荷小さい
等の特長を持っている。

以上。合っているかな~?。
誤りがあればご指摘下さい。


以上で第1弾のレポートは終わり。

HGさんの御厚意で、
上記カートリッジの他にも、
STAXのヘッドシェル
お貸し出し頂いている。

また、その後には、
HGさんわがままオヤジさん
(順不同)ご両名様より
お譲り頂いた、アントレーの
リード線
も待っている。


日記の続きはこちらです。
(1月13日 UP!)

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