ちょっと面白いアナログプレーヤーを 捕獲したので報告。
これはやっぱり辛いものがある。 なにせEP盤サイズのターンテーブルで LPレコードを回すのである。 外周の方は、極端に言えば、 なよなよとシナっている。 明らかにワウを感じてしまう時もある。 CDプレーヤーも (ターンテーブル方式の物などは除いて) 同じように盤の直径より遥かに小さいクランパーで CDをロックして回転させている。 よって偏芯もあれば多少なりとも上下動もある。 しかし、そこはそれ、強力なサーボ技術が バックアップしてくれている。 このプレーヤーには、そんな物は無い。 だから音にも限界がある。 ただ、それでもこのプレーヤーは楽しい。 動きを見ているだけでも心が和む。 それに、CDの黎明期に、その技術を (と言う程オーバーなものでも無いが) こんな形で取りこんだアナログプレーヤーがあった、 という事を検証するだけでも楽しいものである。 フロントローディングなのでラックにも放りこんでおけるし、 何しろ気軽なのでついついLPを掛けてしまう。 こんな事は久しく無かった事だ。
’82年に同じパイオニアから PL−88F(79,800円) 同66F、44Fと言うのが発売されていた。 PL−7Xと同じくトレイがスライドして来るタイプだが、 こちらは420W×98H×335Dとフルサイズ。 加えてマイコン搭載で プログラム再生、 インデックススキャン、 スキッププレイリピート、 一発飛び越し再生、 デッキシンクロ再生 と、正にCDプレーヤー裸足の多機能振りである。 尚、トレイがせり出してくるタイプの先駆けはソニーだった様で、 リニアスケーティングと呼ばれ、 DS−FL5、PS−FL3MCなどと言うモデルが、同時期に存在した。 後年、ビクターQL−G90(’83年 66,800円) なども登場していて、ある程度の亜流も各メーカーから生まれた様である。 しかし、時代は丁度CDへの移行を始めており、 これらのADプレーヤー達も、その後は発展する事無く、 静かに終焉を迎えるに至ったわけだ。 ’80年代前半は、CDプレーヤー台頭の陰で この様な取り扱いの簡便さを追及したアナログプレーヤーが 軒並み放出された時代であり、 また、同時に最後の超弩級プレーヤー達が こぞって発売された時期でもあった。 今振り返って、考古学よろしく解析してみるには 誠に楽しく、また素材にも事欠かない時代と言える。
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