9月7日


ちょっと面白いアナログプレーヤーを
捕獲したので報告。


パイオニアのPL−X7。
’83年の製品。
ミニコンポの一員。

特徴的なのは、そのサイズ。
320W×100H×195D。

幅と高さはともかく、奥行き
195とは、これ如何に?。

ご覧の通り、LPジャケットより小さい。
初めて見た時、これでどうやってLPを掛けるのか?、と首を捻った。


フロントローディング方式でトレイ
(正しくはメカアッシィと言うべきか)
がせり出してくる。

既にCDプレーヤーがデビューしていた時代。

そのノウハウがコンパクトADプレーヤーに
フィードバックされていたのが伺い知れる。

実際、その動作はCDプレーヤーそっくり。


せり出してきたトレイに
ディスクを載せた図。


これが演奏状態。

ご覧の通り、トレイは少し引っ込む。
ただ、完全には引っ込まない。

ここがミソで、本体の奥行き195mmでも
LPレコードが掛けられる。


捕獲時はターンテーブルが
回らなかった。
例によってベルト切れ。

良くある話しだし、パーツもあったので
それはそれで結構な事。

ただし、ちょっと複雑な機構故、
たかがベルト交換で
これだけのパーツを外さなければならなかった
。


カバーを外した状態の方が
仕組みが良くわかる。

これはトレイが全て引っ込んだ状態。
トーンアームが奥側に納まっているのが
見えるだろうか?。

ちなみにターンテーブルは直径180mm。
EP盤のサイズしかない。


そのターンテーブルがせり出して来た
ところで盤を載せるわけだ。
だからこそ、30cm盤も乗っかる。

この時、当然ながらアームはまだ
奥側で待機
。


演奏モードに入ると
ターンテーブルが少し引っ込み、
アームが右側にスイングして来る。

一連の動きは、CDプレーヤーそのもの。


さて、音の方は?、と聞かれると、
これはやっぱり辛いものがある。

なにせEP盤サイズのターンテーブルで
LPレコードを回すのである
。

外周の方は、極端に言えば、
なよなよとシナっている。

明らかにワウを感じてしまう時もある。

CDプレーヤーも
(ターンテーブル方式の物などは除いて)
同じように盤の直径より遥かに小さいクランパーで
CDをロックして回転させている。

よって偏芯もあれば多少なりとも上下動もある。

しかし、そこはそれ、強力なサーボ技術が
バックアップしてくれている
。

このプレーヤーには、そんな物は無い。

だから音にも限界がある。
ただ、それでもこのプレーヤーは楽しい。

動きを見ているだけでも心が和む。

それに、CDの黎明期に、その技術を
(と言う程オーバーなものでも無いが)
こんな形で取りこんだアナログプレーヤーがあった、
という事を検証するだけでも楽しいものである。

フロントローディングなのでラックにも放りこんでおけるし、
何しろ気軽なのでついついLPを掛けてしまう。

こんな事は久しく無かった事だ。


と、ここまで書いてから資料をひも解いて見たら
’82年に同じパイオニアから
PL−88F(79,800円)
同66F、44Fと言うのが発売されていた。

PL−7Xと同じくトレイがスライドして来るタイプだが、
こちらは420W×98H×335Dとフルサイズ。
加えてマイコン搭載で
プログラム再生、
インデックススキャン、
スキッププレイリピート、
一発飛び越し再生、
デッキシンクロ再生
と、正にCDプレーヤー裸足の多機能振りである。

尚、トレイがせり出してくるタイプの先駆けはソニーだった様で、
リニアスケーティングと呼ばれ、
DS−FL5、PS−FL3MCなどと言うモデルが、同時期に存在した。

後年、ビクターQL−G90(’83年 66,800円)
なども登場していて、ある程度の亜流も各メーカーから生まれた様である。

しかし、時代は丁度CDへの移行を始めており、
これらのADプレーヤー達も、その後は発展する事無く、
静かに終焉を迎えるに至ったわけだ。

’80年代前半は、CDプレーヤー台頭の陰で
この様な取り扱いの簡便さを追及したアナログプレーヤーが
軒並み放出された時代であり、
また、同時に最後の超弩級プレーヤー達が
こぞって発売された時期でもあった。

今振り返って、考古学よろしく解析してみるには
誠に楽しく、また素材にも事欠かない時代と言える。


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