7月10日
かねてよりお誘い頂いていた
Yさん&Kさん宅訪問が
やっと実現した。
さて、Yさん、Kさんと よっしーは、どのような知り合いか?。
実はお互い、直接会った事は無いのに、なぜか相手の顔や
オーディオ装置の中味だけは良く知っているという、不思議な仲。
本棚に「オーディオベーシック」12号があったら、P12〜15を
開いてみて欲しい。
そう、その号の読者訪問で、小川ひろしさん、山本耕司さんが
取材に訪れたのが、Yさん&Kさんのカップルのお宅だった。
僭越だが、拙宅への読者訪問が掲載されたのが、同誌の13号。
よって、双方相手がどんな人かは誌面を通じ知っていたわけ。
取材後、小川さん宅や、山本さんのスタジオを訪問させて頂いたりと、
やっている事も似ている。
しかも、奇遇な事に、両家の距離は車を飛ばせば
30分と掛から無いくらい近い。
今回、特に山本さんが間を取り計らって下さり、お互いの交流が
スタート。
(とは言っても、お互いのスケジュール調整もあり、実現までには
随分掛かってしまった。)
まずは、よっしーがYさん&Kさんのお宅へお邪魔させて頂く事と
相成った。
お約束の時間に、Yさん&Kさん宅に到着。
挨拶もそこそこに、リビングへと足を運ぶと、
そこには、オーディオ装置が、ドーンっと居並んでいる。
「おお、雑誌で見た通りじゃん!。」
と、例によって、ミーハーな喜び方をする。
まず、目に止まるD−55は、突き板仕上げで実に美しい。
しかも、これが左右の壁からはおろか、背後の壁からも
充分な距離を取ってセッティングされているのだから羨ましい。
広いリビングならではであるが、これだけオーディオ優先で
部屋が使えるのは、Yさんの情熱もさる事ながら、Kさんの
ご理解があればこそ。
羨むべき環境である。
CDプレーヤーはデンオンのS−10Uで、取材時と変わらずだが
メインアンプがソニーのTA−N1(90万円!)に変わっていたのには
ぶったまげた!。
部屋の隅にと目をやれば、ヤマハGT−2000がある。
アナログもこれから開始、と言う段階だそうで、どうやら取材後
オーディオへの情熱が、爆発的に加速してしまった様子。
しばし佇んでしまった、よっしー であった。
オーディオ優先の部屋使い。
ここまでやればD−55も活きてくると言う物!。
(しかし、よっしー の写真の腕は相変わらず悪い。
綺麗な写真で見たい人は、ベーシック12号を見て欲しい。)
7月16日 追記
さてさて、オーディオが好きな者同志が
リスニングルームで落ち合えば、ただひたすら
音を聴いている?。
いや、そんな事は無い。
そんな事をしていたら疲れ果ててしまうに違いない。
むしろオーディオ談義に花が咲く。
(もちろん、その他の話しにも、、、。)
その全てをここに書く事は到底出来ない。
(何しろぬけぬけと、延々10時間も滞在してしまったもんで、、、。)
まず言えるのは、Yさんのオーディオに対する姿勢は
非常に真摯だという事。
ともすればジャジャ馬にしかならないD−55を、見事に狙った方向に
調整されている。
その影には、電源に対するこだわりがあり、ツイーターの位置に対しての
研究があり、コンデンサーの吟味があり、スペーサーの位置一つにしても
試行錯誤がある。
ひときわ印象的なのが電源。
実は玄関を開けて招き入れていただいた時に、“ギョッ”とさせられた物が
一つあった。
なぜか廊下をFケーブルが這っているのである。
驚け、そのFケーブルは配電盤とパワーアンプTA−N1の電源インレットを
繋いでいるのだ。
つまり、パワーアンプの電源は配電盤から直接引かれている事になる。(!)
これぞマニアの面目躍如。
音には相当効くらしい。
季節柄エアコンを効かせていたので試せなかったが、エアコン用のコンセント
から直接取ると、音は又違うとの事だ。
これはエアコン用の電源だけは配電盤から直接専用で、つまり混じりっ気無しで
引かれているからだろう、と言うご推察だが、その想像はきっと当たっているだろう。
その他の壁埋め込みコンセントは、当然ながら部屋のあちこちを渡り歩いているので
純度が低く、もろもろの電気機器の影響をうけてしまうらしい。
(とは言え、イコール駄目だ、と言うわけでも無い様子。)
とにかく電源にまつわる部分だけでも、相当な量の研究が成されている。
ただし、そんなに一直線に成功を収めた訳でもなく、
「コンセントをいじったらお風呂場の電気がつかなくなった。」
とか、
「その為にその都度コンセントを差し替える方式にしたら、Kさんが感電しそうになった。」
とか、面白い(?)話しがドンドン出て来る、出て来る。
ベーシックの取材の時は、当時使用のパワーアンプ、サンスイB−2105MOS VINTAGE
の電源ケーブルをちょん切って、プラグをホスピタルグレードの物に取り換えたら、
その時は裏目に出てしまったらしい。
(その事は記事にも書かれているが。)
誠に電源一つ取っても難しい物である。
しかしながら、数多くの研究を重ねて、今では“電源の大家”と言ってもおかしくない所まで
極められたのだから大したものである。
なにしろ電源をどこから取るのかによる音の違いを楽しまれているのだ。
配電盤から直接電源供給を受ける
TA−N1の図。
ウネウネと這うFケーブルがご覧頂けるだろうか?。
オーディオ用に配電盤から直接電源を取ると効く、と
そう言えば先月お邪魔した、H市のIさんもおっしゃっていた。
ただし、念の為書き添えるが、これは厳密には資格を持った人以外
やってはいけない事。
Yさんもパワーアンプの保護回路を働かせてしまった事があるらしい。
真似をする人は自己責任で。
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7月22日 追記
さてさて、Yさんは単なる電源マンではない。
その他にも細部に渡りチューンングを施されている。
例えばケーブル類。
D−55のメインユニット、FE−208Sへの配線は
定番のキャプタイアケーブルだが、SPターミナルは使わず
ユニットへ直結。
ここまでは良くある話だが、ユニットのターミナル自体も
宜しくない、と言うなればボイスコイル直結のような形で
結線してしまったらしい。(!)
まさかユニットを外して見せてください、と言うわけにもいかず、
実際どの様になっているのか確かめられなかったが
音は相応に変化するらしい。
スーパーツイ-ターの位置、配線、コンデンサーにも相当苦労された
ご様子。
これは同じ様な事を、僕自身もやって来たのでお気持ちは良くわかる。
特に位置などは、測定機無し、聴感のみ、でやっていると気が狂いそうになる。
僕は大分前にさじを投げたが、Yさんも今は大体満足という所で一休みしたご様子。
でも、良い感じで鳴っているのだから、現状で問題も無いのでは?、と思うのは所詮門外漢
だから。
オーナー自身にしてみれば、「いや、まだまだ、、、。」の思いが絶えずついて回るものなのだ。
値段で判断してはいけないかもしれないが
やっぱり羨ましい、T-500A。
(ペア13万円也!)
見ているだけで良い音がしそう。
ツイータースタンドは無く、固定には定番の
鉛インゴット。
世にD-55は数あれど、天板に載るスーパーツイーター
及びコンデンサー、そしてケーブルで音はころころ変わってしまう。
その支配力たるや、恐るべし。
(なめたらアカン)
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ところで、肝心な音の方は?。
これが実に繊細で緻密。
BHイコール野放図に鳴りまくる、なんて先入観を持っていたら
拍子抜けするくらい、きっちりコントロールされた鳴り方だ。
さすが、まじめに追い込まれた装置は違うわい、と心の中で呟いた位。
CD一枚ごと。いや、ワントラックごとの録音の違いがわかるような鳴り方。
それでいて、いざとなれば鮮やかな位の暴力性も発揮する。
D-55をここまで追い込めずに投げ出した当方としては顔色無し、である。
さて、微に入り細に入り、の部分ばかりご紹介して来たので、あるいは線の細い
マニアの姿を想像された方もいるかもしれないが、実はYさん、武道家であり
格闘技のプロなのである。
この辺は「オーディオベーシック 12号」にももちろん紹介されているが、
それでいてYさんの風貌はまるで普通の人。
語り口は謙虚だし、穏やかそのもの。
だが、お話の折々に、やはり只者ではない、と感じさせる所を散見する。
箱根の山を自転車の片足こぎで越えてしまった話し。
北海道でヒグマに遭遇しかけて、一度は戦うしかないか、と決心した話し。
まるで超人ハルク(古い!)である。
弱い犬ほどよく吠えると言うが、百獣の王、ライオンは狩りの時以外は至って大人しいもんである。
人も同じ。
何かに精通してしまった人は、無闇やたらに吠えるような事はしないのだと、Yさんを見ていてそう思った。
音は人なり。
Yさんの音にはYさんが反映されている。
ライオンサウンド、と名付けようとして、もっと適確な言い方がある、と気がついた。
「猛獣使いサウンド」。
語呂は良くないが、こっちの方が正解だ。
一歩間違うと、ただ吠えるだけになりかねないD−55を、見事に調教されている。
Yさんにかかれば、ライオンもこうなるだろう、と言う感じ。
ご苦労はあったろうが、その甲斐あって今は立派に飼い馴らされている。
リスニングポイントにある、センスの良い、一品物の椅子に腰掛け、最近は音楽を掛けながらうたた寝してしまう事も多いという。
眠ってしまえると言うのは、ご本人にとって納得のいく鳴り方をしているからだ。
そうでない段階の時は、音が気になって眠るどころか5秒と座っていられないのがマニアの常。
一段落出来て、本当に良かったですね。
きっちり、といった言い方が
ピッタリの鳴り方をするD−55。
ここまで追い込んでもらえた
君は幸せ者。
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7月28日 追記
さて、YさんKさんのオーディオライフで、もう一つ凄いのが
ソフトの収集だ。
と言っても家中CDだらけだ、とかそんな事ではない。
(とは言うものの、量的にもかなりなのは確かだが、、、)
マニア好みのレーベルのオンパレードという感がある。
MAレコーディング、ジャバラ、ハルモニアムンディ、
ニューワールド、リファレンスレコーディングなどなど、
名盤から珍盤まで幅広く集めている。
なんでそうなってしまうのかと言うと、基本的にワンポイントレコーディングなど、
シンプルダイレクトな録音の物が好きだからなのだ。
MAレコーディングのタッド.ガーフィンクルとも懇意にされているご様子。
そして、このソフト選びの段になるとYさん以上にご活躍されるのがKさん。
パソコンのプログラマーというお仕事柄なのか、まずソフトの検索能力が素晴らしい。
歩くサーチエンジンという感じ。
かなり珍しいソフトでも、何とか入手経路を見つけて来てしまうらしい。
尚且つ、実際にCD売り場に乗り込めば、まるで訓練されたシェパードよろしく、
適確にソフトを見つけて来てしまうと言うのだから無形文化財か、はたまた人間
国宝にでも指定しても良いかもしれない。
ハード担当のYさん、ソフト担当のKさん、と無敵のコンビネーションだ。
Yさんも素晴らしいパートナーを持たれたものである。
何しろソフト抜きではオーディオは成立しない。
Yさん宅の装置は、それらちょっとマイナーなレーベルの、優秀録音盤に合わせて
チューニングされている。
だから、ごくありきたりのソフトを掛けると、ちょっとつらい。
ソフトが荒れていると、それがモロに出て来てしまう。
この現象は我が家でも起きていて、「なんで好きなポピュラーソングを聴けない装置を
手間暇掛けて組んじゃうんだろうねー。」と、二人して笑ってしまった。
こればっかりは仕方ない。
荒れた録音を耳障りにならない様に鳴らしたければ、もう一組装置を組むしか無いだろう。
YさんKさんの今後のオーディオだが、
GT−2000が用意され、アナログ導入の準備
に着手されているのは前述の通り。
アナログは色々やる事も多いので、これからますます泥沼にはまる事は
まず間違いあるまい。
プリもフォノイコも無い(ボリュームのみ使っている)現状だが、何と現在
フォノイコの自作を計画中との事。
恐れ入りました。
「アナログは初心者なので、色々教えてください。」などと言われてしまったが
僕に出来る事は一緒に悩む事くらいで、とても教えるなんて出来ない!。
(取りあえず、GTの会には入会してもらわなくっちゃね。)
それだけではない。
現状でもD−55はいい音を奏でているが、更に一段上、と言う事でD−58の
製作を計画中。
ユニットは?、と訊ねたら、「一応買ってあります。」とFE−208ESと、更にリングまで
見せてもらった。
実は現用のD−55はYさんの自作ではなく、人の作ったものを譲り受けたとの事。
しかしながら、Yさんは家具屋さんに勤めた経験もあり、木工の腕は本物。
だから次回作は是非自分の手で作りたいご様子。
しばらくはまだD−55を追い込みたいとの事だが、いざ作るとなったら半端でない物が
出来そうだ。
今から楽しみにさせて頂こう。
(ついでに俺のも作ってくれないかな〜?。)
更にスーパーウーファーの夢。
その為のマルチアンプの夢まであり、当分楽しめそうだ。
アナログ開始の際には又お邪魔させて頂く事、そしてその前に、今度は拙宅に遊びに来て頂く
事をお約束して、YさんKさん宅を後にした時は、すっかり11時を回っていた。
初回訪問だと言うのに、その節は本当にゴメンナサイでした。
いつも後から反省する男がここに居る、、、。
YさんKさんのオーディオに大変な刺激を頂いた私、、、。
それで何をやるかと言えば、これが又例によって大した事はやらないのであった。
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(7月31日 UP!)
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