IKEDA9CU拝聴。
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MCカートリッジにおいて針先とコイルの距離を縮める試みは 色々な形で試みられた。 有名なビクターのMC−1、同L10、同L1000は マイクロプリントコイルを採用。針先の直近上方に接着して ダイレクトカップルという言葉を生み出した。 IKEDA9シリーズは更に徹底。カンチレバーを排除。 針先がコイルの一部に組み込まれる様な形を取った。 初期の物は特にクリティカルだったようだが ’90年に入る頃からトラッカビリティも向上させ ある程度の扱い易さを持たせる事にも成功したと言われる。 9CUは’89年当時65,000円。 IKEDAとしてはかなり廉価な設定だが これは恐らくバーゲン価格。優秀な製品を広く普及させる足掛かりに したかったに違いない。つまり良い意味でのお買い得モデル。
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一同の“神経質な音が出てくるのでは?”との思いを余所に 出てきたのは繊細で、それでいてうっとりさせるような美音。 ただし、その時は飛び入り故に純正シェルでは407GTをもってしても バランスが取れなかったので便宜的に11gシェルに換装して聴いている。 全く同じ状態で聴くのも芸がないので、難しさが増す事を覚悟の上で 純正シェルに装着し直して拝聴する事とした。
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カートリッジも重いが、このシェルが又重い。 GT−2000の純正アームでもバランスが取れず (シェル込み33g迄は大丈夫) 実用になったのはWE−506/30とDV−507だけだった。 最初はWE−506/30で聴いた。 (写真撮り忘れた!) ちょっと聴いては調整、を繰り返して一応納得。 次に写真に写っているDV−507にバトンタッチ。 (DV−507がSP−10Uのプレーヤーに載るのは久しぶりだ) この様にアームの差し替えをする時に、長岡式プレーヤーは大変便利。 複数のアームを使ってみる事で、カートリッジの個性はより一層明確になる。
小さくて優秀な物を作らせたら日本人は世界一と言われるが (うかうかしていると抜かされるが) まあこのカートリッジの音は日本人でなければ磨き上げられなかったのではないかと 思ってしまった。 LSIを高倍率の顕微鏡で覗くと、思わず“ほぉ〜”、という感嘆が洩れるが 正にそんな感じ。“よくぞここまで、、、、”、と感動してしまうくらい 緻密な音がする。 ただし、今のところ拙宅では諸手を上げての万々歳とはならない所がある。 時々急に怒り出す?。 これは使いこなしが不完全だとみた。 それと皮肉な事にここ数日急に気温が下がっている。 このような事も不利に働いていると想像する。 (我が家では室温が外気に著しく左右される。涙) なので続きは又。
オーディオとは直接関連は無いのだけど 「ニューハウス」さんの11月号(10月20日発売)に “捨てる”をテーマにコメントを寄せさせて頂いております。 で、その号をお送り頂いたのですが、表紙を見ると、、。
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プレーヤーもKPっぽいです。 何と奇遇なのでしょう、と思ってしまったのでこちらでも お知らせです。
再びIKEDA9CUのお話しに戻るのだが ここでMC−L1000にお出まし願う。 ダイレクトカップル対決?の実現だ。 取り敢えず、アームはそのままDV−507。 L−1000もこの前使ったのはいつだったっけ?というような状態だったのだが 無事に音は出た。 改めて耳を傾けると、個人的には大変懐かしい音で “いや〜、この音を散々聴いてきたなぁ〜”という感じ。 IKEDAと限らず、どのカートリッジと比べても 一番早い低音。 中高域の過渡特性を上げるのはそんなに難しい事ではないと思うが この様に低域まで等しいスピードで動かせる物はそうそう無いと思う。
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オーバーシュート気味。 前日のIKEDA、この日のL−1000共に わかりやすくいってしまうとハイハット系の音に疑問が残った。 ここでふっと思ったのだが、SAECのWE−506/30アームに このL−1000を取り付けて聴いた事が無かった。 怠慢というか何というか、、、。 そこで再びDV−507とWE−506/30を入れ替え。 (しつこいが長岡式プレーヤーはとにかく便利というか合理的。 オーバーハング調整もアームベースをスライドさせることで あっという間に終わってしまう)
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音が出た瞬間ビックリした。 いやはや、もしかすると我が家のベストマッチを見逃していた?。 恐ろしく艶やかで美しい。DV−507の時と全て同じディスクを 掛けているのだが、音は桁違いだ。 とにかくこんな音はこれまでL−1000から出せないで居た。 何だか申し訳ないような気分になったが、オーディオってそう言う物だ。 一年くらい前を振り返ると、SP−10U、HX、SA3、HMA−9500、LS5/9は 変わっていない。 変わったのは506/30。そしてプリ→パワー間のピンケーブル。 それにアームケーブルも変わった。 全てがツボに嵌ったのかな?。 弦が美しく、ピアノは特筆ものの美しさだ。 L−1000が生きている内にこの音にたどり着けて良かった。
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これはやはり大変美しい音がする。 L−1000を基準にするとウエット感が一段上がる。 L−1000が行けるところまで突っ走ってある日突然こときれる 重度のワークホリッカーだとしたらIKEDA9CUは常識を踏まえた 吟遊詩人という感じ。 あるいは、L−1000がコーナーで限界まで踏ん張って あるところから先で“キュンっ”、とタイヤを滑らせるタイプだとすると 9CUはもっと手前で“キュルキュル”、とスリップ音をさせるが その実、本格的に滑らせる事はしないタイプと言い換えられるかもしれない。 両者の違いは大変興味深いものと思えた。 ただ、IKEDAに関してはほんの数日のおつき合いであり、 その魅力の全てを引き出せたとはとても思えない。 HXとの組み合わせも、L−1000に取っては良かったかもしれないが IKEDAには良質なトランスなども(持ってないけど)試してみるべきだったのではないか。 いつか機会があれば、そんな事も出来るのかもしれませんね。
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がやっと決まった。 今度の物は銅線クライオ仕様。 これをまた徹底的に聞き込んで、、、というお話しは 先にしましょう。 それは心を落ち着けて、、、又の機会に。
それにしてもL−1000から甘くて芳醇な音がしている。 思わず、“うっそぉ〜”、と言いたくなるが本当だから仕方ない。 よっぽど相性の良い環境に嵌ったのだろう。 あるいは齢20歳にして人間ならぬカートリッジが練れたのだろうか。 こーゆー音に限って、その時限りだったりするので 消えて無くならない内に耳を傾けておこう。 馬鹿の一つ覚えだけど 「NOCTURNES UND DUETTE FUR GITARRE UND VIOLINE」 (独 SCHWANN VMS1034) のバイオリンに酔い 「MOKAVE」 (AUDIOQUEST AQ-LP1007)のラストのピアノに酔っている。 全くもっておめでたい。 でも、良いじゃないの、幸せならば。
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