Lo-D HI-FI CONPONENT      MAIN  AMPLIFIER

 

1975年春発売 日立Lo-D初のパワーアンプ

HMA-2000  (予)¥350.000

 

雑誌ではHS-1500の発表時にBTL接続で使用されたアンプとある。

又、HS-1500の取扱説明書にて演奏室への設置では当社の実例によりますと、

Lo−DメインアンプHMA-2000をBTL接続(300W :片チャンネル)で組合わせた場合、

60〜100名程度収容する小ホールで演奏効果を出すことができます。と記載。

 

見てくれか、評価の低さからか?情報はほとんどない。

デザインは古臭く、何故?このまま発売したのが不思議。

取扱説明書には強度的に耐え得る合理的なシャーシ、構造と品位の高いデザイン

とあるが・・流石日立!


重量23.5kg

天板は1mm厚のアルミで両サイドが折り曲げてある。たたいても鳴らない。1.2kg。

底板は1mm厚のアルミで脚込み1.2kg。(脚は20Φモールド)

リアパネルはアルミ1mm厚。

シャーシ構造は、各部がチャンネル構造となっている。

サイド枠は、アルミの鋳物ベースで1.9kg。非常に強固なつくり。



(よっしー註;こちらの写真では端子が交換されています)

 

電源コードは12Aのゴム系平行コードで1.25スケア。

ACアウトレット部より内部配線は最大22AWGで0.3スケア相当、

シールド線も単線の細いもので頼りない。

当時は測定データ重視で配線には気をつかってなかったことがうかがえる。

            

 入力はバリアブルのみでL・R独立のボリュームでコントロール。

 元のスピーカーターミナルはプッシュ式。穴は大きいので5.5スケアくらいは入る。

壊れていたので交換した。ついでに入力ジャックも交換。




(よっしー註:こちらの画像にあるのがオリジナルの端子です)

 

内部は一見、トランスを中心としたシンメトリー。

実は真ん中のケースは入力アンプと保護回路のシールドケース。

前オーナーが行ったのかこのケース下方にブチルテープが貼り付けてあり

鳴き止めしている。


 

トランスはEIコアで140×120×75mm。電力容量は不明。

サイズからすると250VA位?シャーシへはフェルトを挟み取り付け。

フィルターコンデンサーは日本ケミコンのPOSITIVE (ケミコンケースに表示)

63V22.000μF(75Φ×105mm)が2本。これに0.22μFの小型フィルムコンデンサー

がパラってある。

 

基板は全てガラスエポキシを使用。

カードエッジ式となっているのでメンテはらく。


岩崎千明

スイングジャーナル 5月号(1974年4月発行)
「AUDIO IN ACTION」より

Lo-D HMA-2000
 やっぱり日本産業界切っての大物「日立」、やることが違う。というのがこのアンプのすべてだ。果しなくパワーを上げていくと、遂に突如、ひどくなまってくるのに慣らされた耳に、このアンプは不思議なくらい底知れずのパワー感がある。つまり音が冴えなくなる、という限界がないのだ。それはテクニクスに似てもっと耳あたりのよいサウンドの質そのもののせいといえる。日立のオーディオ界における新らたる実力だ。

仕様

      式  差動2段エミッタ−接地形インバーテッドダーリントン

  ピュアコンプリメンタリーSEPP OCL回路

 

        (両CH駆動 8Ω、0.1% )

     20Hz〜20KHz :100W+100W(8Ω)、140W+140W(4Ω)

            1KHz       :105W+105W(8Ω)、150W+150W(4Ω)

            BTL(1KHz)    :300W8Ω)

 

高調波ひずみ率  (1KHz、両CH駆動 )

            実効出力時(8Ω):0.01%以下(ノミナル0.004%)

            50W出力時(8Ω):0.01%以下(ノミナル0.004%)

            1W 出力時(8Ω):0.05%以下

 

混調波ひずみ率  (60Hz:7KHz−4:1)

            実効出力時(8Ω):0.05%以下

            50W出力時(8Ω):0.05%以下

            1W 出力時(8Ω):0.05%以下

 

出 力 帯 域 幅  (両CH駆動 IHF):20Hz〜20KHz(ひずみ率0.05%)

 

周 波 数 特 性  5Hz〜60KHz +0、-1db

 

入 力 感 度     1V (75KΩ)

(入力インピーダンス)

ダンピングファクター   100(8Ω、1KHz)

( S / N )         100db

 

出 力 端 子     A ・ B (4〜16Ω)、A+B (4〜16Ω)、BTL(4〜16Ω)

 

外 形 寸 法     446 (W)×173 (H)×381 (D)mm

 

            23.5 kg

 

シリアルナンバー:82000029L
W450
×H170×D400mm

概  要

Lo-Dシリーズの音響製品として、スピーカーシステムをはじめ各種の音

響部品、機器を提供してきておりますが、今回あらたに大出カメインアンプ

HMA-2000,が完成しました。

ステレオ再生の効果を支配する重要な要素としてダイナミックレンジがあり

最大普圧を高く、かつ、最大音圧においても十分に低ひずみでなければなりま

せん。スピーカーは、パルシブな信号に対しては十分応答する能力をもってお

り、HMA-2000は、音楽再生時に瞬間的に発生するパルシプな信号をも

忠実に伝達するダイナミックレンジの広いメインアンプです。

このようにスピーカーの能力を最大限に発揮させることができるとともに信頼

性の高い安全な保護回路と、過大入力が入ると急激なクリップを生じ耳障りな

音を防ぐASCC (Automatic Saturation Control Circuitも)回路など全く新しい

機能を盛り込んだ画期的な最高級メインアンブです。

 

 

 

1.特  長

1)安定度の高い差2段エミッタ−接地インバーテッドダーリントン・

ピュアコンプリメンタリーOCL回路

本機は、初段に2段差勒増幅段を採用した全段直結エミッタ接地形イ

ンバーテッドダーリントン・ピュアコンプリメンタリーOCL方式を採用しています。

従来、メインアンプ部の電圧増幅段の電源は大振幅動作している出力段

より供給されており、これは電源電圧の変動や大振幅動作時に発生する電

圧変劫確よって非直線ひずみが発生するなど音質に悪影響を与えやすいも

のでした。このため、本機では出力段の電源とは別に本格的な定電圧電源

で電圧増幅段を駆動させていますので、周囲温度や電源電圧の変動による

オフセット電圧の変化もなく常に安定した直流安定度を得ています。また、

出力段はレギュレーションの良い大形トランスの採用と大容量コンデンサ

22,00μFを2個使用した電源から供給されており、どのような信号

に対しても常に安定した動作を行います。

従来ない新しい回路として、エミッター接地形インバーテッドダーリ

ントン回路を採用しており、20Hz〜20KHzで100W+100W

(ひずみ率0・1%以下、8Ω)、1KHz、8Ω、同時駆動で0・01%以下

の大出力、低ひずみ率を実現しました。

 

 

エミッター接地形の特長は、出力段で利得がとれるので多量の負帰還をか

けることができ低ひずみ率が実現できることと、前段に耐圧の低いローノ

イズのトランジスターが使用できることです。

このようローノイズの性能をフルに発揮できると同時に、出力段に

100W級のhfeのリニアリティの良いトランジスターをパラレルに使用

したピュアコンプリメンタリーOCL回路と相まってS/N比の向上と低域

から高域まで大出力で低ひずみ率を実現した安定度の高い回路方式となっ

ています。

 

2) 大出力300Wのモノーラルアンプ

本機は、100Wx2のステレオパワーアンプですが、大出カモノーラ

ルアンプとして動作させるBTL回路を内蔵しております。

スピーカー端子(本磯の後面)の接続を変えるだけで20Hz〜20KHz

8Ω、0・1%以下)で300Wの出力を保証しています。

本機を2台でBTL使用することにより、300Wx2のステレオパワー

アンプとなり、スピーカーシステムの能力を最大限に引きだすことのでき

るメインアンプです。

なお、本磯はメインアンプ自体のひずみと雑音が非常に少ないので、BTL

回路として、Lチャンネルの出力をRチャンネルの帰還回路に入力す

るというユニークで、かつシンプルな方法をとっています。

従来から行われている位相反転回路を用いた方式では、低ひずみ率で、

かつ、ダイナミックレンジを広くとろうとすると、位相反転回路自体が複

雑になってしまいます。

本方式のBTL回路は低ひずみ率、低雑音のメインアンプであるために

可能になったものです。

(接続方法については‘‘取扱い上の注意’’を参照してください)

3)クリッピング波形に飽和特性をもたせ高次高調波ひずみの発生を抑える

ASCC方式 (Automatic Saturation Control Circuit

増幅器に過大入力が入ると、増幅器の出力は急激に飽和して耳摩りなび

りついた音を発生するものです。音楽信号の場合には、信号の平均レベル

と最大ピークレベルとの差が大きく(電圧)ベル差にして20数dBに達す

るものもある)、出力は飽和しやすくなり高次高調波成分が発生し、耳障

りな不快音となります。

20数dBにおよぷ最大ピークレベルの発生率は、非常に少ないものですが、

わずかな発生率でも最大ピーク入力が入った場合に出力を飽和させないよ

うにするには増幅器のダイナミックレンジ,すなわち最大出力を増加させ

てやれば解決するものですが、むやみに最大出力を増加させることは経済

性の面から好ましくなく、100W級の増幅器において飽和時の高次高調

波の発生をおさえれば種々のソースに対してほぼ完全に満足できると考え、

従来の急激な飽和波形に対して丸みをおぴさせる回路方式として、ASCC

を採用しております。

本回路は、音楽信号の瞬時的なピーク信号に対して応答しなければならな

いという条件で負帰還形を採用し、音楽信号の平均レベルでのひずみ率が__

十分に良いところで使用できるよう利得の変化点を決定しております。

ASCC ONよりクリップ波形は、なだらかな丸みを帯びるように

削られ、同一入力では、OFFの状態に比較して若干出力が減少しますが、

ONの状態でさらに出力を増加させてもクリップ音が検知されにくいので、

従来よりも入力レベルの増加が可能となります。

このようにクリップ音が検知されにくい、いわゆる飽和時に発生してい

た、びりついた音がASCCによってやわらかな昔となり、音源によって

2.4倍程度の平均音響出力、つまり 100Wの増幅器から240Wの増

幅器に匹敵する平均音響出力をとりだすことが可能です。【特許出願中】

 

(図− 2)にASCCの基本回路を示します。これの動作は、出力電圧

eoより抵抗R4に誘起される電位がトランジスタ−Q1(Q2)のベース・エ

ミッタ一間のPN接合電位(約0.7X)を越えると、トランジスターQ1(Q2)

が導通し、抵抗R3およびR4は、Q1(Q2)により短絡されることにな

り、増幅器の利得は低下します。ダイオードD1(D2)は、Q1(Q2)のコレ

クター・ベース接合の順方向導通を阻止するためのダイオードです。

 

(図−3)において、@はASCC ONの時、AはOFFの時の入出

力特性を示します。利得の変化点は、音楽信号の平均レベルでは、増幅器

のひずみ率が十分に良いところで使用しなければならないことから50%

以上のところに設定してあります。

 

4)スピーカー保護装置

大パワーで演奏されるスピーカーは、各種のアクシデントから十分に保

護される必要があります。本磯では、次の2系統の保護方式を採用しまし

た。

4.1)低域の過大入力を電子的に検知する保護回路

現在の増幅器は大出力化の傾向にあり、OCL化されることによって出

力帯域幅も広くなり、低域における出力帯域幅は数Hzまで伸びてきてい

ますが、低域の周波数特性が伸びると、ピックアップやマイクロホン・等を

落したり、倒したりすることによって増幅器に低域の過大入力が加わり高

価なスピーカーシステムを破顔する恐れがあります。

本磯では、このような入力を検知して、電子的に約一40dbのミューティ

ングをかけることによってスピーカーシステムの破壊を防ぐ回路を採用し

ており、過大入力の要因が取り除かれた後、約1.5秒後に自動復帰するよ

うになっています。

では、通常の入力信号と過大入力信号(ショック音)とをどのように区別

するかということですが、定格入力以上の入力が入った時に検出信号を出

せばいいわけですが、低域の信号に対しては、比較的クリップしても気付

かれずに聞かれているのが実情です。このような信号は、出力がクリップ

する入力より約6dB以上の入力ですが、これらを過大入力信号として取り

扱い、保護することは得策でありません。そこで本磯では、定格入力より6

db以上の入力が加わった時に動作させるように決定してあります。

本回路では、低音用スピーカーが破壊する原因である最低共振周波数付近

またはそれ以下の周波数において単発的な過大入力が入り、振幅過大とな

ってスピーカーのエッジ、ダンパー等が破壊するのを未然に保護するの揚

目的としておりますので、最低共振周波数の付近または、それ以下の周波

数の入力に対して、検出回路にフィルタ一特性をもたせて保護しておりま

す。

つまり、約50Hz以下の周波数帯において、入力2V以上(定格入力より

6dB以上)が入ってきますと、瞬間的に約一40dbのミューテインクがかか

り、スピーカーの破壊を防ぐと共に、過大入力がなくなると約1.5秒後に

自動復帰します。

(図一4)に過大入力保護回路の基本回路と簡単な動作原理を説明します。

抵抗Rzの両端に約⊥.2V以上の電圧が発生しますと、トランジスターQ2が

導通となりR3に約1.2V以上の電圧が発生してQ3が導通し、R4に電圧が

発生し、R6とダイオードD2を通じて、スイッチ用トランジスターQ1が導通と

なります。その結果、増幅器の人力はR7/R7+R8 で減衰され、入力を減衰

することによってスピーカーを保適します。(特許出願中)

 

(図-4)過大入力保謹回路の基本回路

42)直流電圧の変化を確実に検知するリレー保護

OTL回路は、低域再生に優れる反面、各素子に異常があった場合、中

点電位のアンバランスによりスピーカー端子に直流電圧を生じます。

電圧の場合、ボイスコイルの変位を招きひずみの発生原因となり、ま

た、大電圧の場合には、ボイスコイルの焼損までおよぶ場合があります。

本機は差勧2段より、本質的に直流電圧の発生を抑制していますが、万

一の場合に備えて信頼性の高いICを使用し、±0.7V以上を検出し、リレ

ーを動作させております。

負荷短絡等の異常が発生し、出力トランジスターのASO領域を越える

ような領域に入ろうとした場合、電子的にリミッターせかけ、出力トラン

ジスターのサイリスタl(SCR)をON状態にし、SCRがONになった

後、増幅器の定電流源のバイアスをOFFし、回路を直流的にも交流的に

も遮断すると同時にICのバイアス電流をOFFすることによってスピー

カーリレーを遮断する方法をとっております。

このため、SCRによってバイアスが遮断される速さにくらべて、リレー

の応答速度が遅く、電流が流れない状態となってからスピーカーリレーを

動作させていますので、リレーの接点には大電流が流れず無理のかからな

い回路となっております。

また、信頼性の高いICを使用することにより、ミューテイング回路を構

成していますので電源0N−OFF時の不快音は皆無となり、あらゆるアクシデント

に対しても確実に応答する安全な保謹回路です。以上、保護回

路を要約しますと次のようになります。

 

5)強度的に耐え得る合理的なシャーシ構造と品位の高いデザイン

重量物にも十分強度に耐え、放熱特性がよく、電気的特性をより高性能

化するためにあらゆる角度から検討を加えた画期的なレイアウトになっています。

 

シャーシ構造は、各部がチャンネル構造となっており、空気の対流性がよ

く余裕ある放熱特性を備えているとともに、使用部品の1つ1つに細かな

配慮を加えています。サイド枠は、アルミの鋳物を採用し、表面に入念な

機械仕上げを施し、シ・ルバー色のメタリック塗装を施すことによって品位

の高いデザインとなっています。

_

2. 取扱上の注意

1)設置場所について次の点について注意してください

1.1) 直射日光をうけたり、発熱体(暖房器具など)の近くでの使用はさけてください。

 

(2.2) 風通しが感く、通気やホコリの多い場所での使用はさけてくださ

 

(3.3)不安定な場所や、振動の多いところでの使用はさけてください。

(2) 電源スイッチの投入は、コントロールアンプから

本機は、過大入力保適回路を備えていますが、万一一の場合、接続される

コントロールアンプのショック音で大切なスピーカーをいためることがあ

りますので、次の順序で操作をおこなってください。

コントロールアンプの電源を“ON“してから、次にメインアンプ(HMA-2000)の

電源スイッチを”ON“してください。その後にスピーカー切換スイッチの操作を

おこなってください。

スイッチの投入傾序

 

 

3)保護回路について

   保護回路が動作する主な原因としては、出力端子を短絡した時などに、PROTECTランプ(赤色)が点灯します。このような時は、ただちに電源スイッチをOFFにしてください。

次に、その原因を取り除いたのち、約30秒後に再び、電源スイッチを入れてください。それでも異常が認められる場合には、セット内部に異常が認めれますので、日立家電サーニスステーションにご連絡ください。

 

(4)モノ ーラルアンプとして使用される場合(BTL接続)

本機を大出力300Wのモノーラルアンプとして使用される場合は、次

のような接続と操作をおこなってください。

(4.1)本機の後面に配置されている“INPUT”、端子の“L”側にPRE―OUT

を接続します。

(4.2)スピーカー端子の”BTL“表示の+−とスピーカーシステムの+−

を接続します。 

(4.3)“INPUT-LEBEL”の“R”CHはMIN(最小)にしてください。

(4.4)スピーカー切替スイッチ(SPEAKERS)は“BTL”の位置にしてください。


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